Introduction

2大オスカー俳優が演じる本年最高の感動作
 病状が進むなか、安楽死の選択をした母を看取るために家族が集まった最後の週末。スーザン・サランドンとケイト・ウィンスレットというアカデミー賞受賞2大女優が初共演した本作は、母の決意によって残された家族の生き方を考えさせてくれる濃密なヒューマンドラマである。

 わだかまりや自分の思いが一気にあふれ出し、大きな秘密を共有することになる“家族”を演じる顔ぶれもまた実力派揃い。サランドン演じる気丈なリリーを医師としても支える夫に、サム・ニール。ウィンスレット演じる生真面目な長女と反目し、母の愛にすがる次女にミア・ワシコウスカ。リリーの親友リズを舞台女優としても評価の高いリンゼイ・ダンカンが演じている。さらには長女の夫にはレイン・ウィルソン、次女の恋人にはベックス・テイラー=クラウスと個性的な顔ぶれが集い、長女の息子を演じる新鋭アンソン・ブーンも輝きを放っている。

 ビレ・アウグスト監督によるデンマーク映画『サイレント・ハート』(14/未)を、その脚本家クリスチャン・トープ自身がアメリカでの映画化に向けて脚色。『ノッティングヒルの恋人』(99)『ウィークエンドはパリで』(13)のロジャー・ミッシェル監督が、静謐さの中に時にユーモアを交えながら、秘密を共有する家族の物語を紡ぎ出した。海辺の家で8人の登場人物だけで繰り広げられる物語が、深く静かに心に刻まれる映画だ。

Story

母の決意が、私を変える。
ある週末、医師のポール(サム・ニール)とその妻リリー(スーザン・サランドン)が暮らす瀟洒な海辺の家に娘たちが集まってくる。病が進行し、次第に体の自由が効かなくなっているリリーは安楽死する決意をしており、家族と最後の時間を一緒に過ごそうとしていた。長女ジェニファー(ケイト・ウィンスレット)は母の決意を受け入れているものの、やはりどこか落ち着かず、夫マイケル(レイン・ウィルソン)の行動に苛立ちがち。家族だけで過ごすはずの週末にリリーの親友リズ(リンゼイ・ダンカン)がいることにも納得がいかない。詳しい事情を知らなかった15歳の息子ジョナサン(アンソン・ブーン)も、この訪問の意味を知ることに。

長らく連絡が取れなかった次女アナ(ミア・ワシコウスカ)も、くっついたり離れたりを繰り返している恋人クリス(ベックス・テイラー=クラウス)と共にやってくるが、姉と違い、母の決意を受け入れられておらず、ジェニファーと衝突を繰り返す。

大きな秘密を共有する家族がともに週末を過ごすなか、それぞれが抱えていた秘密も浮かびあがりジェニファーとアンナの想いは揺れ動き、リリーの決意を覆そうと試みる…。

Cast Profile

Susan Sarandon / Lily
スーザン・サランドン / リリー
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Kate Winslet / Jennifer
ケイト・ウィンスレット / ジェニファー
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Mia Wasikowska / Anna
ミア・ワシコウスカ / アンナ
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Sam Neill / Paul
サム・ニール / ポール
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Bex Taylor-Klaus / Chris
ベックス・テイラー=クラウス / クリス
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Rainn Wilson / Michael
レイン・ウィルソン / マイケル
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Lindsay Duncan / Liz
リンゼイ・ダンカン / リズ
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Anson Boon / Jonathan
アンソン・ブーン / ジョナサン
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Susan Sarandon / Lily
スーザン・サランドン / リリー
1946年10月9日 アメリカ合衆国 ニューヨーク生まれ。
異彩を放つ女優として現在も活躍している。1970年、『ジョー』でデビューを飾り、1975年のカルトクラシック作品『ロッキー・ホラー・ショー』、物議を醸したルイ・マル監督の『プリティ・ベビー』(78)『アトランティック・シティ』(80)で、米アカデミー賞に初ノミネートされた。その後『さよならゲーム』(88)の怖いもの知らずのアニー・サヴォイ役から、『テルマ&ルイーズ』(91)、『ロレンツォのオイル/命の詩』(92)と『依頼人』(94)で演じたそれぞれの役、そして米アカデミー賞と全米俳優組合(SAG)賞の最優秀主演女優賞に輝いた『デッドマン・ウォーキング』(95)での死刑囚の精神アドバイザーを務めた修道女ヘレンまで、すべての役に色気と知性を漂わせ、持ち味を出している。

 テレビドラマ、ドキュメンタリー、アニメーションの声優など活躍は幅広く精力的に仕事をこなし、映画とTVでさまざまなジャンルの難易度の高い作品に出演しキャリアを築いてきた。本作に加え、待機作に『Call Jane』(共演:エリザベス・モス)がある。

Kate Winslet / Jennifer
ケイト・ウィンスレット / ジェニファー
1975年10月5日 イングランド、レディング生まれ
17歳のとき、ピーター・ジャクソン監督の『乙女の祈り』(94)でデビューし国際的に名を上げた。次いで1995年、アン・リー監督の『いつか晴れた日に』でアカデミー賞に初ノミネート、ゴールデングローブ賞にもノミネートされた。ジェームズ・キャメロン監督の大作『タイタニック』(97)で生き残ったローズ役でアカデミー助演女優賞にノミネートされ一躍スターの座を獲得。5回ものアカデミー賞ノミネートを獲得したのち、スティーヴン・ダルドリー監督の2008年の作品『愛を読むひと』で同賞初受賞を果たした。またこの作品で、ゴールデングローブ賞、全米映画俳優組合(SAG)賞、英アカデミー(BAFTA)賞、放送映画批評家協会賞をはじめ、数々の賞を受賞。ジェームズ・キャメロン監督の『アバター』(09)の続編『Avatar 2』が2022年12月16日、日米公開予定である。他の待機作には出演に加え、製作総指揮も務めるHBO放送のミニシリーズ「Mare of Easttown」がある。クレイグ・ゾベルが監督を務める同シリーズで、地元で起こった殺人事件の捜査をするに連れて、自身の生活が崩壊するペンシルベニア州の小さな町の刑事役を演じる。2013年、バッキンガム宮殿でエリザベス女王二世より大英帝国勲章を授与された。2014年3月、ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームの星を獲得し、ハリウッドのスターたちの中で揺るぎない地位を獲得した。さらに2018年1月、第38回ロンドン映画批評家協会賞でディリス・パウエル賞を受賞した。
Mia Wasikowska / Anna
ミア・ワシコウスカ / アンナ
1989年10月14日 オーストラリア キャンベラ生まれ。
ルイス・キャロルの小説を基に、ティム・バートン監督が映画化した2010年の『アリス・イン・ワンダーランド』のアリス役に大抜擢され、続いて2016年の続編『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』で主人公のアリスを演じ、世界的に認められた。近作に、オーストラリア人女優/脚本家のミラー・フォークスの初監督作で、古典的なパペットショーをリメイクした『Judy & Punch』(19)で2019年1月、サンダンス映画祭でプレミア上映された。また、村上龍の1994年の同名小説を映画化したニコラス・ペッシェ監督の『ピアッシング』(18)に出演。この作品は、2018年度サンダンス映画祭でプレミア上映され、ユニバーサル・ピクチャーズ・コンテント・グループより2月1日に全米公開された。最も期待される若手個性派俳優の一人である。
Sam Neill / Paul
サム・ニール / ポール
1947年9月14日 北アイルランド オマー生まれ。
幼少期にニュージーランドへ移住。初期のころの出演作に、『テロリストたちの夜/自由への挽歌』(77・未)、『わが青春の輝き』(79)がある。1981年、『オーメン/最後の闘争』で世界的な主役を獲得。次いで、カルト映画『ポゼッション』(81)に出演した。さらに、『デッド・カーム/戦慄の航海』(88・未/共演:ニコール・キッドマン)、『レッド・オクトーバーを追え!』(90)、ジェーン・カンピオン監督の賞受賞作『ピアノ・レッスン』(93)などに出演し、国際的な認知度を高めた。1993年、スティーヴン・スピルバーグ監督の『ジュラシック・パーク』のアラン・グラント博士役に起用され、2001年の『ジュラシック・パークⅢ』でも同役を演じた。
Bex Taylor-Klaus / Chris
ベックス・テイラー=クラウス / クリス
1984年8月12日 アメリカ合衆国 アトランタ生まれ
Netflixのオリジナルコメディ『ダンプリン』に出演。自身のジェンダーをノンバイナリ―であると公表し、主流メディアで活躍しているジェンダー・ノンコンフォーミングのアーティストたちのために一石を投じ、GLAADなどのLGBTQ+団体で活動をしている。TVシリーズの「THE KILLING」(11~14)のシーズン3(13)に出演したことで多くのファンを獲得した。ハリウッドにおいてダイバーシティでインクルーシブな表現を増やすように提唱し続けている。
Rainn Wilson / Michael
レイン・ウィルソン / マイケル
1966年1月20日 アメリカ合衆国 シアトル生まれ。
ニューヨーク大学ティッシュ・スクール・オブ・アーツの演劇課程で学び、美術学修士号を取得。ニューヨークの舞台で10年間活動したのち、ロサンゼルスへ移った。ブロードウェイでは「テンペスト」、トニー賞ノミネート作品「London Assurance」などに出演。また、ザ・パブリック・シアターやプレイライツ・ホライゾンズなどオフブロードウェイの舞台でも活躍。これまでの出演映画に、『あの頃ペニー・レインと』(00)、『JUNO/ジュノ』(07)など。TVドラマでも活躍するほか、YouTubeチャンネル「Soul Pancake」を開設し、2600万人を超えるチャンネル登録者を獲得している。
Lindsay Duncan / Liz
リンゼイ・ダンカン / リズ
1950年11月7日 スコットランド エジンバラ生まれ。
舞台・映画・TVで幅広く活躍。これまでロジャー・ミッシェル監督『ウィークエンドはパリで』(13)、『アバウト・タイム ~愛おしい時間について~』(13)、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(14)などに出演。舞台はこれまでに、イギリスのウエストエンドやブロードウェイで上演された数々の幅広い作品に出演している。近作に、ブロードウェイで上演された「デリケート・バランス」がある。2009年、演劇界への貢献が認められ大英帝国勲章(OBE)を受勲した。
Anson Boon / Jonathan
アンソン・ブーン / ジョナサン
2000年2月15日 イングランド生まれ。
これまでの出演TV作品に、BBC放送の「All At Sea」(14)、TNT放送/Netflixの「エイリアニスト」(18/共演:ダコタ・ファニング、ルーク・エヴァンス)の2エピソード、ITV放送のシリーズ「新米刑事モース ~オックスフォード事件簿~」(12~)のシーズン5の1エピソード(18)、スカイ・ワン放送/ナウTV放送の「Living The Dream」(17~)のシーズン2の1エピソード(19)、Amazon配信のシリーズ「The Feed」(19~/共演:ガイ・バーネット、デヴィッド・シューリス)の4エピソード(19)など。本作に加え、出演した近作映画には『クロール —共謀領域—』(19)などがある。

Staff Profile

Roger Michell, Director
ロジャー・ミッシェル(監督)
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Christian Torpe, Writer
クリスチャン・トープ(脚本)
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Sherryl Clark, Producer (President of Production, The H Collective)
シェリル・クラーク(製作/ザ・H・コレクティブ製作部門長)
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Roger Michell, Director
ロジャー・ミッシェル(監督)
1956年6月5日 南アフリカ プレトリア生まれ。
イギリス外交官の息子として南アフリカで生まれ、幼少期をベイルート、ダマスカス、プラハで過ごした。学生のときに演劇の演出を始め、その後ケンブリッジ大学に進学。1977年のナショナル・スチューデント・ドラマ・フェスティバルでRSCバズ・グッドボディ賞を受賞し、さらに同年のエディンバラ・フェスティバルでフリンジ・ファースト賞を受賞した。その後、ナショナル・シアター、オールド・ヴィック、リリック・ハンマースミス、ドンマー、ハンプステッド、ロイヤル・コート、アルメイダ、ウエストエンドやブロードウェイの劇場など至るところで演出を務め、その後、ストラトフォードとロンドンでロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの常任監督を6年間務めた。

主な監督作品は『ノッティングヒルの恋人』(99)、『チェンジング・レーン』(02)、『パッション』(03)、『Jの悲劇』(04)、『ヴィーナス』(06)、『恋とニュースのつくり方』(10)、『ウィークエンドはパリで』(13)、『レイチェル』(17)また、BBC放送のドキュメンタリーや、数多くのコマーシャルの監督も務めている。

これまでに、英アカデミー賞を2回、イブニング・スタンダード賞、エンパイア賞を2回、批評家協会賞を受賞。また、エムデン国際映画祭、ロカルノ国際映画祭、セビリヤ・ヨーロッパ映画祭、上海国際映画祭、ランス映画祭など、数々の映画祭でも賞を受賞している。
Christian Torpe, Writer
クリスチャン・トープ(脚本)
1978年5月12日デンマーク フュン島生まれ。
ビレ・アウグストがデンマークに帰国し、監督を務めた『サイレント・ハート』(14・未)で脚本を担当して絶賛を浴び、デンマークのアカデミー賞を受賞した。Netflixのヒットシリーズ「RITA リタ」(12~20)で企画/脚本に携わりブレイク。同シリーズは、オランダで「Tessa」(15)、フランスで「Sam」(16)としてリメイクされた。近作に、クレスチャン・ヨンガスンの世界的ベストセラー小説「The Exception」を基にしたデンマークのTVシリーズ「Fred til lands」(19)がある。ロサンゼルスとコペンハーゲンを行き来して活動している。
Sherryl Clark, Producer (President of Production, The H Collective)
シェリル・クラーク(製作/ザ・H・コレクティブ製作部門長)
1956年3月9日 ニュージーランド生まれ。
ザ・H・コレクティブの作品の企画開発/製作の全局面を統括している。同社の初製作作品は、ジェームズ・ガン製作のホラー『ブライトバーン/恐怖の拡散者』(19/主演:エリザベス・バンクス)である。また、ヴィン・ディーゼル主演、D・J・カルーソー監督の「トリプルX」シリーズ(02, 05, 17)の第4作目となる次回作の製作と統括を担当する。現在、取り組んでいるプロジェクトに、2018年度ブラックリスト/ヒットリスト/ヤング&ハングリーリストに挙がったアーロン・サラ脚本の『Beast』、デレク・コルスタッド(「ジョン・ウィック」シリーズ(14, 17, 19))脚本の『The Remainders』がある。また、自身の製作会社バステッド・シャークの旗印のもと、本作『Blackbird(原題)』の製作を担当した。

プロデューサー/エグゼクティブとして幅広い経験を積んでいる。ウォルト・ディズニー・カンパニーで、最初はタッチストーン・ピクチャーズ、次いでザ・ジェイコブソン・カンパニーに配属され、キャリアをスタートさせた。その後、コペルソン・エンターテイメントに入社し、米アカデミー賞受賞プロデューサーの故アーノルド・コペルソン(『ハリソン・フォード 逃亡者』(93)、『セブン』(95))とともに仕事をした。

Credit

<キャスト>
リリー:スーザン・サランドン     Lily:SUSAN SARANDON
ジェニファー:ケイト・ウィンスレット Jennifer:KATE WINSLET
アナ: ミア・ワシコウスカ      Anna:MIA WASIKOWSKA
ポール:サム・ニール         Paul: SAM NEILL
マイケル:レイン・ウィルソン     Michael:RAINN WILSON
クリス:ベックス・テイラー=クラウス Chris:BEX TAYLOR-KLAUS
リズ:リンゼイ・ダンカン       Liz:LINDSAY DUNCAN
ジョナサン:アンソン・ブーン     Jonathan:ANSON BOON

<スタッフ>
監督:ロジャー・ミッシェル       Director:Roger Michell
脚本:クリスチャン・トープ       Screenplay:Christian Torpe
プロデューサー:シェリル・クラーク   Producer:Sherryl Clark
プロデューサー:デヴィッド・べルナルディ   Producer:David Bernardi
撮影:マイク・エリー          Director of Photography:Mike Eley
美術:ジョン・ポール・ケリー      Production Designer:John Paul Kelly
編集:クリスティーナ・ヘザーリントン  Editor:Kristina Hetherington
衣裳:ダイナ・コリン          Costume Designer:Dinah Collin
ヘア・メイク:イヴァナ・プリモラック  Hair & Make up Designer:Ivana Primorac
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